新・読書日記 2012_233
『横道世之介』(吉田修一、文春文庫:2012、11、10)
帯に「青春小説の金字塔」と。2013年2月には映画化もされるらしい。でも「50のおっさんが読んで面白いのかな?」という疑問と、以前、読んだ吉田修一の本があまり面白く感じられなかった気がして、二の足を踏んでいたのだが、「えいっ!」と購入して読んでみたら・・・これがおもしろい!もう、ほんとに青春小説、だよね!いいです。主人公の「横道世之助(よこみち・よのすけ)」という名前は、井原西鶴の『好色一代男』の主人公の名前と同じらしい。あ、西鶴を読んでいないのがバレた・・・。
で、舞台は1980年代半ば。それと現在(20年後)がオーバーラップしながら、お話は進んでいく・・・あとは、本を読んでください。面白いから。
そうだ、吉田修一と言えば、名作『悪人』があったな。あれは「本当の正義とは何か、悪とは何か」そして「愛とは何か、生とは?死とは?」ということを「マイナス」の面から突き詰めようと描いたものだった(と思う)が、この『横道世之助』も、結局、突き詰めようとするテーマは同じで、明るい方から正統的に「プラスの面から」迫っていったのではないかなと感じた。
star4_half