新・読書日記 2012_231
『教室内(スクール)カースト』(鈴木翔 解説・本田由紀、光文社新書:2012、12、20)
2012年は「いじめ」の問題が改めて取り上げられた1年でもありました。「いじめ」は学校、子どもたちだけの間でなく、社会全体にあるが、その発生起源を「学校」というくくりからさらに一歩進めて「教室」に求めたのが本書。ただ「教室内」に「スクール」とカタカナのルビが打たれています。
著者は1984年生まれの東大社会学研究所の支援専門職員。(ってどんな仕事なんだろうか?)主な研究テーマは「中高生の交友関係」だそうです。その東大大学院での修士論文に加筆したものが本書。論文なのに、平たくて読みやすくされていて、論文ぽくはありません。でも、調査をもとに書いているあたりは論文で、ちょっと、読み物としては、まだるっこくも感じます。担当教官が本田由紀・東大教授。「フリーター」関連の研究で有名な方です。これまで何冊か、本を読みました。
内容は子どもたちの「教室」の中で「階層(カースト)」が出来ていると。小学校の時は「運動(スポーツ)」のできる子の「地位が高い」が、中学・高校になると変わって来るとか、確かに私の「体験的に」感じてきたことが、子どもたちへの具体的な聴き取りや調査に基づくデータで出てきているという点で、そこまで調べた人はこれまでいなかったんだろうと思います。
しかし、私が小学生だった「40年前」に感じたことと、大規模アンケートによって明らかになった「現在の姿」が「同じ」なのに、なぜかくも"現れる形"としは変わってしまったのか?という考察が抜けているように思います。ポイントはそこじゃないのかな?
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