新・ことば事情
4913「伸ばすか?伸ばさないか?それが問題だ」
先日の新聞用語懇談会放送分科会で、毎日放送のK委員からこんな質問が出ました。
「12.5」を「ジュウニテンゴ」、「5.3」を「ゴテンサン」と「短く」アナウンスしている社はありますか?
これに関してほとんどの社は、
「伸ばして『ジューニーテンゴ』『ゴーテンゴ』と発音する」
とのことでした。しかし、一部ベテランの、それもスポーツのアナウンサーは、
「伸ばさない、と教わった」
と答えました。
実は私も、20数年前に入社した時の研修で先輩から「伸ばさない」と教わり、
「そうか、プロのアナウンサーは伸ばさないんだ!」
と新鮮に感じた覚えが、いまだにあります。それ以来、放送では伸ばさない読み方をしてきました。
読売テレビのアナウンサーにこの質問をしたところ、「12.5」に関しては、
「伸ばさない」=3人
「伸ばす」=12人
そして、「5.3」に関しては、
「伸ばさない」=2人
「伸ばす」=13人
という結果でした。「12,5」と「5,3」で人数が違うのはこの二つに関して「読み方を変えている」という、とっても微妙な人が1人いたからです。
もしかしたら、「伸ばすことで間延びする」のを嫌ったスポーツアナウンサーが、テンポよく読むために「短く言う」ようになり、それが「ニュース」にも入って、昔のアナウンサー訓練で使われたのではないか?という「推測」をしました。
ytvアナウンス部で「伸ばさない」で読むのは、今では私と、1年後輩のアナウンサーの2人だけになってしまいましたが。