新・読書日記 2012_222
『津波と原発』(佐野眞一、講談社:2012、6、18)
「週刊朝日」の橋下大阪市長に関するノンフィクションの連載で味噌を付けた佐野眞一だが、だからこそ、読んでおきたいと思った一冊。東日本大震災からわずか3か月後に出ていて、すぐに購入しながらまだ読んでいなかったので、この勢いで読んだ。
病気をしてから、そして東日本大震災が起きてから、それまで以上に使命感に燃えて命がけで取材執筆をしているように感じていた。そのぐらいの勢いがある。その勢いが、筆を誤らせたのか?
震災後に現地に入り、状況を取材すると同時に、新宿ゴールデン街のおかまバーの名物ママの消息を尋ねたり、地震研究家の共産党の大御所を訪れたりする様子が描かれた第1部、そして原発街道となった福島の歴史、日本の原発の歴史など「そもそも」について書かれた第2部の1、2、3章。月刊誌や週刊誌に書かれたものを集めた部分もあるが、どれも去年の発災後、早い時期の者であり、「いま」を描いている意味では貴重な一冊であろう。
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