新・読書日記 2012_218
『若者を殺すのは誰か?』(城繁幸、扶桑社新書:2012、11、10)
著者は1973年生まれ。"若者のお兄さん格"と言ったところか。少なくとも本人は、(ギリギリ)「中高年」には入っていないという認識だと思う。かなり攻撃的な内容。表紙の、赤いコートを着て雑踏に立つ女の子の写真も、とても印象的だ。これが「殺される若者」を象徴しているのか?「○○を殺すのは誰か?」というタイトルで思い出すのは、佐野眞一の「本を殺すのは誰か?」だが、それまでにもきっと同じようなタイトルはあったのだろう。本多勝一の「殺す側の論理」「殺される側の論理」にも「殺す」が入っていたが。
第4章の「若者にツケを押し付ける政治」までは、なんとも過激な表現に眉をしかめ「この城さんって人は、こんな物言いをする人だったっけ?」と思わざるを得ず、途中から「読まなくてもいいかな」と思ったぐらいだったが、第5章「社会に存在する虚構と"空気"」以降は「うん、確かにそうだ」と、ちょっと理性が戻ってきたような文章になっている。
第6章「若者自身の責任」のところに書かれた「民主主義の誤解と真実」の中に、
×「民主主義は公平なシステムだ」
○「民主主義は平等な権利が与えられるシステムだ」
×「民主主義は正義を実現する」
○「民主主義は多数派にとっての正義を実現する」
あたりは「その通り!」と、うなずいてしまった
トータルでいうと、読む価値のある本だったのと思う。
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