新・ことば事情
4899「節制と摂生」
11月27日の「ミヤネ屋」で、歌手の井上順さん(65)が「感音性難聴」という病気で耳が聞こえなくなっているというニュースをお伝えしました。そのVTRに出てくれた専門の医師の話をフォローするスーパーをチェックしていたら、
「節制してよく寝て」
というのが出てきました。最初はそのまま「○」を付けたのですが、
「あれ?ちょっと待てよ。これでいいのかな?」
と引っかかって、日本新聞協会の『新聞用語集2007年版』をチェック。やっぱり「せっせい」には、2種類ありました。つまり、
「節制」と「摂生」
です。『新聞用語集2007年版』の区別では、
*「摂生」=【養生】(例)摂生に努める
*「節制」=【欲望を慎むこと】(例)酒・たばこを節制
とありましたが、その違いがあまりよくわかりません。そこで、読売新聞の『読売スタイルブック2011』を引くと、
*「摂生」=(健康に注意して、体をいたわる)(例)摂生して回復に努める、不摂生
*「節制」=(欲望を慎み、規則正しい生活をする)(例)酒・たばこを節制する
と、ありました。『新聞用語集』と似たような感じですが、こちらの方がよくわかった気がしました。つまり、「節制」の場合は「タバコを節制する」「酒を節制する」のように「~を」という目的語を取ります。「全体的なせっせい」は「摂生」を使うようです。
そう考えると、今回のケースは、目的語が付いていなかったので、
「摂生してよく寝て」
とした方がいいかなあと思って、そう直しました。