新・ことば事情
4894「日本を探している暴走老人です」
「ミヤネ屋」のテロップを、放送前にいつものようにチェックしていました。
すると、石原慎太郎・前東京都知事の発言(挨拶)のコメントフォロースーパーで、
「日本を探している暴走老人です」
というテロップが。
「日本を探している」?
なんだかヘンだな・・・。AD君に確認すると、
「たしかにそう言ってました」
と自信ありげに言うのです。うーん、でも視聴者が見て、これ、意味が解らんぞ。
そこでディレクターに確認すると、
「え、違いますよ!『騒がしている』です!」
と言うではありませんか。つまり
「日本を騒がしている暴走老人です」
と石原さんは言ったのでした。それが、まあそんな滑舌が良かったわけでもなく、早口の東京弁で、
「さーがしている」
と言ったのでしょう。それをAD君は、
「探している」
と聞いたのです。大きな原因は、しゃべった方と聞いた方の理解力の差、つまり、ボキャブラリーが少ない「話し言葉」だけで育った若者が、年長者のしかも「書き言葉」の世界になじみがないことが原因でしょう。それにしてもどうも最近、こういった間違いが多い。ここで一つ疑問が。
「もしかしたら、今の若者の話す(そして聞き取る)母音と、従来の日本人が話す母音の音が変わってきているのではないか?」
ということです。よく言われるのは、
「最近の若者は、『シ』と発音できない。全部『スィ』になってしまう」
という話。これも関係しているのかもじれません。
こういった「母音の変化」があるから、きっちりと音(言葉)を聞き取れないのではないか?もし、そうだとすると、これは結構コワイことですよね。
同じ日本語を話しているつもりでも、今私たちが話している日本語と違う日本語を話す若者が増えている・・・日本の行く末は・・・?と心配になるのです。「暴走日本語」?
ところで、「暴走老人」という言葉は、作家の藤原智美さんの2007年に出した著作に基づくものですよね?でも、みんな、あの本を読んだのかな?田中真紀子さんは読んだんでしょうけど。