新・ことば事情
4889「営まれる」
「ミヤネ屋」のスタッフからの質問です。
「『告別式』と『通夜』、『営まれる』を使うのはどちらでしょうか?」
うーん、どっちも使うんじゃないの?
「告別式が営まれる」「通夜が営まれる」
別に動詞の区別はしたことがないなあ。「営まれる」を使うとお線香の香りがしてきそうな気がします。気のせいでしょうか?
ただ、
「開かれる」
は、こういったしめやかな行事には向かないなあ。
「告別式が開かれた」「通夜が開かれた」
とは言わないよね。
一方で、
「行われる」
は、「告別式」には、
「告別式が行われた」
と使えそうだけど、「通夜」には、
「通夜が行われた」
とは使わない気がします。
G00gle検索(11月12日)では、
「告別式が営まれる」=1万0500件
「通夜が営まれる」 =1万5300件
でした。過去形は、
「告別式が営まれた」=2万4200件
「通夜が営まれた」 =2万2400件
ついでに、「開かれた」は、
「告別式が開かれた」= 8万4700件
「通夜が開かれた」 = 2万9700件
あ、「告別式」はかなり頻繁に「開かれた」のですね。「通夜」も・・・。「営まれる」よりもネット上ではよく使われています。
「行われた」は、
「告別式が行われた」=16万6000件
「通夜が行われた」 = 6万7500件
特に「告別式」は「行われた」が圧倒的に使われています。「通夜」も「開かれた」より3倍近く使われています。
「現在形」では、
「告別式が開かれる」= 5万2100件
「通夜が開かれる」 = 1万7110件
「告別式が行われる」=13万3000件
「通夜が行われる」 = 5万4000件
でした。
ネット上では「告別式」「通夜」ともに、一番たくさん使われている動詞は、
「行なわれる」「行われた」
でした。
それで検索していたら・・・なんと「平成こととば事情3636 通夜が営まれ」というのを2009年に書いてました!!覚えていないわあ。
また、「葬儀Book」というサイトには、こう記されていました。ご参考までに。
「仏式葬儀では通夜と告別式が執り行われ、二日にわたって故人との最後のお別れをすることになるのが一般的な流れですが、本来の仏式葬儀では通夜と告別式がセットになっていたわけではありません。」
「お別れを告げに行く告別式=『通夜』の翌日に執り行われる『告別式』は、本来は『葬儀とは全く無関係のもの』でした。日本で最初に『告別式』が行われたのは、1901年に亡くなった思想家の中江兆民の葬儀で、最初は無宗教葬の一つとして行われたといわれています。 芸能人や有名人が亡くなった後にファンに向けて行う『お別れの会』が、『告別式』の本質であると考えてよいでしょう。『告別式』では、参加した多くの人が出来るだけ故人との最後のお別れを済ませられるよう『通夜』を簡素化した内容が行われます。」
よくわかりました。日本で最初に『告別式』が行われたのは、今から111年前、思想家の「中江兆民の葬儀」だったのですか!勉強になりました。