新・ことば事情
4882「万里の長城の『長城』のアクセント」
「万里の長城」で遭難した日本人3人が亡くなった事故。このニュースで何度も聞いた
「万里の長城」の、
「『長城』のアクセント」
について、用語懇談会のメンバーでもあるフジテレビのKアナウンサーから質問を受けました。
「『長城』は『チョ/ージョ\ー』と『中高アクセント』でしょうか?それとも『チョ/ージョー』と『平板アクセント』でしょうか?『中高』をよく耳にする気がするのですが、NHKのアクセント辞典には『平板』しか載っていないんですが・・・。」
え?そうなの?どっちもあるんじゃないの?と思ってアクセント辞典を引くと、たしかに「チョ/ージョー」
と「平板アクセント」しか載っていません。「中高」の「チョ/ージョ\ー」だと、
「頂上」
になってしまいます。
読売テレビのアナウンサーにアンケートを取ってみたところ、
「中高アクセント」=12人
「平板アクセント」= 4人
と「中高」の「チョ/ージョ\ー」が優勢でした。特に若いアナウンサーはみんな「チョ/ージョ\ー」と「中高」でした。
「平板」で読むというベテランのHアナウンサーは、
「私自身も子供のときは『中高』で言っていたと思いますが、いつの頃か、『意味合いから判断すれば"平板"に違いない』と確信して、その頃から努めて『平板』にするようにしています。滝廉太郎の『荒城の月』の『荒城』も、『中高』で読んだら『工場の月』に聞こえて、なんだか煙突の煙をかぶったお月様が気の毒で、風情も何もなくなってしまう感じだし・・・。」
とのこと。確かに「荒城」は「平板」「コ/ージョー」ですね。
「中高」の「コ/ージョ\ー」だと、
「工場」
ですね。「炭坑節」なんかは煙突が高くてお月さんが煙いので「工場の月」か?「ボタ山の月」か。「花札」のような構図でしょうか?
同じような語構成の「見事な城」の意味の「名城」も、
「メ/イジョー」(平板)
です。「メ/イジョ\ー」ではありません。「名古屋駅」は、地元の人は「名駅」と略して、
「メ/ー\エキ」(平板アクセント)
と呼びますが。
一連のこのアクセントを巡る戦いを、
「チョージョー決戦」
と言います。(言わないか。)
皆さんはどちらのアクセントで「長城」と言いますか?