新・ことば事情
4880「全容発覚を隠そうとした」
10月31日のうち(読売テレビ)のお昼のニュース(「ストレイトニュース」)を見ていたら、
「全容発覚を隠そうとした」
というフレーズが出てきました。なんだか、おかしい。
「『発覚を隠そうとした』はおかしい」
のではないでしょうか?
「発覚を逃れようとした」
「発覚すること恐れ、隠そうとした」
ならOKですが。というのも、「発覚」というのは、単に「明るみに出る」ことではなく、
「隠そうとしていたことがバレる」
ことですから、「発覚を隠す」というのは、
「隠そうとしていたことがバレて、それを隠す」
という、なんだか「ちびくろサンボ」に出てくる虎が尻尾繋がりになっちゃったような違和感があります。だって「発覚」は「(隠していたものが)バレる」なんだから、バレた以上、それを隠すことはできないですよね。
報道のデスクにそう指摘しましたが、
「考えに考えてこの表現にしたんですけど、おかしいですか?」
と、おかしさに気付かない様子。もちろん、そのまま読んでしまったアナウンサーも、おかしさに気付いていません。気付けよなあ・・・と思いましたが。
どうも「発覚」を安易に使いすぎているのが、こういった事態を招いているのではないか。
きょう(11月6日)は、中国・万里の長城での3人が死亡した遭難事故のニュースで、
「遭難事故が発覚して2日」
という表現が。別に「事故」は「隠そうとしていた悪事」ではないから、「わかった」という意味で「発覚」を使うのはおかしいと指摘し、
「遭難事故判明から2日」
に直しました。