新・読書日記 2012_204
『「独裁」入門』(香山リカ、集英社新書:2012、10、22)
刺激的で、かつシンプルなタイトル。またもタイトルに惹かれて香山リカの本を買ってしまった・・・。でも今回はそんなに"失敗した感"はなく、納得感がある。
各章の題名を読むと、全体像が見えてくる。「第1章・ふわっとした民意」「第2章・独裁待望の背景にある心理」「第3章・『独裁型ヒーロー』の手法」「第4章・ハシズムを超えて」。
ここに書かれているは、最近の政治を巡る状況を生み出しているのは実は、われわれ有権者・国民であること。その原因は、自分を持たない(自信を失った)個人が、現在の苦しい状況から助け出してくれるヒーローの登場を(他人まかせに)熱望しているということがあると。「民意」はまさに、それ。そんな気持ちに陥らざるを得ない「社会」・・・しかしそれを作っていったのは紛れもなく、われわれ国民ではないかという自覚がない。そこが問題ではないか。
「思考停止」で他人にゆだねることを止め、まず「考える」ことから始めないといけない。それしか手はないのだ。手遅れかもしれないが・・・。
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