新・ことば事情
4877「ゲキショウ」
2012年10月22日、俳優・大滝秀治さん(87)のお別れの会で弔辞を読んだ、演劇評論家の矢野誠一さん(77)はその中で、
「ゲキショウを生業(なりわい)にしている私は」
と言っていました。それを聞いて私は最初、「ゲキショウ」というのは、
「激賞」
だと思って、
「なんだ、そんなにヨイショしちゃうのかな?この人は」
と一瞬思ってから、ハッと気づきました。これは「ゲキショウ」ではなくて「ゲキヒョウ」、つまり、
「劇評を生業としている私は」
だったのです。それなら意味が通ります。すなわち、
「矢野さんは江戸っ子なので、『ヒ』が『シ』になってしまった」
それで、
「劇評」→「激賞」
のように聞こえた、というわけだと思います。
この弔辞は「ミヤネ屋」で「生放送」で流れたので、字幕スーパーでフォローしませんでした。もし、スーパーフォローしていたら、間違ったスーパーが出ていたかもしれないな、とホッと胸をなでおろしたのでした。