Top

『道浦TIME』

新・読書日記 2012_201

『ネットと愛国~在特会の「闇」を追いかけて』(安田浩一、講談社:2012、4、17第1刷・2012、5、22第2刷)

「在特会」という名前は、どこかでチラッと聞いたことがあるくらいで、ほとんど知らなかった。ネットから発生して、実際にこういった抗議行動を起こす団体があり、しかもその団体の内部でも、時間の経過とともにどんどん内部が変質・分裂していく様子を描いたドキュメント。タイトルのように「ネット」が生み出した「つながり」のキーワードとしての「愛国」、その行動が「在日外国人(在日韓国・朝鮮人)」への攻撃になったという。しかし結局、本当の意味での「愛国」行動ではなく、自分たちの「現状の不満の原因」を弱者に求め、そこへの攻撃に転じるという傾向。「認められたい」という気持ちの持って行き場所が「在日攻撃」だったと、著者は伝えているように思う。これは最近の「生活保護受給者」に対する世論の動向などにも通じるところがあって、そういう意味では、決してこの「在特会」が突出した存在とまでは言えないかもしれない。そこに、空恐ろしさを感じる。ちょうど並行して読んでいた、ソフトバンクの孫正義の伝記『あんぽん』と交差する部分もあって興味深かった。


star3_half

(2012、10、31読了)

2012年11月 8日 20:28 | コメント (0)