新・読書日記 2012_188
『もっと地雷を踏む勇気~わが炎上の日々』(小田嶋隆、技術評論社:2012、10、25)
かなり辛口の社会批評。4つの章に分かれているが、それぞれ「橋下維新批判」「津波災害」「SNS社会」「若者」が俎上に上がっている。第1章「わが心は維新にあらず」では、橋下維新の中のまず「教育」方法に疑問を、そして「民主主義」のはき違えを指摘。「民主主義と資本主義は正反対である」という指摘は、正鵠を射ていると思う。
第2章「大津波はわが魂に及び」は、大江健三郎の作品のタイトル(「洪水はわが魂に及び」)のパロディか。「震災以来、わが国のメディアは目に見えて不寛容になってきている」という指摘もまた、「言えてる」と思う。「不寛容=イントレランス」。
第3章「わが炎上の日々」は、この本のサブタイトルにもなっている。不寛容なネット社会において、多数派ではない(少数派の)意見を表明すると、袋叩きになる(=炎上)という「ムラ」社会。「原子力ムラ」を批判しながら、そもそもアンタたちを含む日本全体が「ムラ社会」ではないか、と感じる。(私も。)
そして第4章「若者たちをよろしく」は、フリーターやら草食系やら、何かと「生贄の羊」にされる若者たち、実はそんな目に遭わせている周囲の大人社会がおかしいのではないか?将来、われわれを支えてくれるのは「未来ある若者たち」である。それを今、支えようという気持ちなくして、自らの"立地"の余地はない、つまりリッチになれない。心もね。
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