新・ことば事情
4874「シンポジウム」
10月25日の日本テレビ『スッキリ!!』の中のニュースで、「ミヤネ屋」でもおなじみの岸田雪子さんが、ノーベル賞の山中伸弥教授と、同時受賞したケンブリッジ大学のガードーナー名誉教授が、アメリカ・サンフランシスコで開かれたシンポジウムで、ノーベル賞受賞後、初めて会ったというニュースを伝えていました。その中で、「シンポジウム」のアクセントを、
「シ\ンポジウム」
と「頭高アクセント」で読んでいるのを聞いて違和感を覚えました。普通、日本語化した「外来語としての"シンポジウム"」は、
「シ/ンポジ\ウム」
という「中高アクセント」で、最後の「ジウム」は「ジューム」と読みます。『NHK日本語発音アクセント辞典』を見ても、そう載っています。
もしかしたら、英語のアクセントで読んだのかなと思って英和辞典を付引くと、なんと、
「シン/ポ\ウジウム」
と、「ポ」のところにアクセント記号が書かれていました。(カタカナで書くのに無理がありますが。)
ということは、岸田さんの「シ\ンポジウム」という「頭高アクセント」は「日本語の標準語」でも「英語」でもない、「新しいアクセント」ということになります。
ここからは想像ですが、たぶん、
「エ\キササイズ」
のように最初にアクセントがある英語のイメージに引かれて、
「英語(原語)のアクセントは、頭(最初)にあるのだろう」
という意識の下に読んでしまったのではないでしょうか?
それにしても、英語の「symposium」が「ポ」にアクセントがあるのは、日本語の外来語としては、なじまない感じです。「英語の中の外来語」で、そもそもはギリシャ語系から入って来たのではないかな?
あ、そうか、これって「複合語」なんだ!頭の「sym」(シム)は「接頭語」だ!
「一緒に」「同じ」
という意味だよね!「symphony(シンフォニー)」の「シン」だ!だから「接頭語」にはアクセントは来なくて、元の「意味の根幹」の方にアクセントが来るんだ!
そう気付いて、「sym」という「接頭語」の付く英語を他にも調べてみると、
「symbol」「symphony」「symmetric」「sympathy」
等があり、接頭語としての「sym / sin」は、
「(ギリシア語系の語について)共に、同時に、類似。<lの前ではsyl- ; b、m、pの前ではsym- ;rの前ではsyr- ;sの前ではsys- sy- >」
とありました。あ、そうすると「system」の「sys」も同じ接頭語なんですね。
そしてやっぱり「ギリシア語系から入った英語」なんだ。ほぼ想像通りの結果でした。