新・ことば事情
4870「宸筆」
「三筆」に数えられる嵯峨天皇の、
「宸筆」
という表記・言葉が、『日本人の数え方がわかる小事典』(飯倉晴武、PHP新書)の中に出てきました。それを見てハッと思い出したのは、
「『宸筆』の『宸』は、京都御所の『紫宸殿』の『宸』ではないか!」
ということです。そう考えていたら、毎日、利用している京阪電車の駅に貼ってあった、京都の博物館でやっている展覧会のポスターで
「宸翰(しんかん)」
という文字が。これは「天皇の手紙」なのではないか?ということで、
「天皇関係の言葉に『宸』という言葉は使われるのではないか?」
と考えました。『精選版日本国語大辞典』で「宸翰」を引くと、
「宸翰」=天子自身が書かれた文書。天子の直筆のもの。宸筆。
とありました。「宸翰」と「宸筆」は同じだったのか!
一応「宸筆」を引くと、
「宸筆」=天子が自身で書いたもの。天皇の自筆。天皇の直筆。神筆。
とありました。
『新潮日本語漢和事典』で「宸」を引くと、
「① 天子の。天の。」
とあり、用例としては、
「宸衷」「宸憂」「宸断」「宸襟」「宸筆」「宸翰」「宸遊」
また2番目の意味として、
「② 天子の居所。宮中。」
とあって、こちらの用例に「紫宸殿」がありました。