新・ことば事情
4868「若松監督を弔問」
10月17日に亡くなった映画監督・若松孝二さん(76)。そのニュースを伝える10月19日の「ミヤネ屋」のスーパーのチェックで、
「寺島しのぶが若松監督を弔問」
という表現が出て来て、何か違和感が・・・。辞書を引くと、やはり、
「『弔問』は、遺族のもとを訪問すること」
なので、「亡くなった当人」の若松監督を「弔問」するのはおかしい。故人・その人を「弔問」することはできない。あくまで「弔問」の対象は「遺族」。残された家族の親族の皆さんに「お悔やみ」を言いに訪れることですね。その表現を、
「若松監督宅を弔問」「若松監督の自宅を弔問」
に変更しました。
すると原稿にも少しおかしな言い方が。
「若松監督の弔問に訪れた」
この「弔問に訪れる」は「重複表現」。「弔問」の中に「訪れる」意味は含まれていますから、
「若松監督の自宅を弔問した」
としました。