新・ことば事情
4867「お手伝いさん」
兵庫県尼崎市の民家で3人の遺体が見つかった事件は、恐ろしい広がりを見せていますが、その中の遺体の一人が、角田(すみだ)美代子被告の家の家事を手伝っていた女性であることが分かったというニュースが、10月19日のお昼のニュースで報じられました。
この女性の職業名を呼ぶときに、
「お手伝いさん」
と言っていいか?とデスクに聞かれました。
「女中」
という呼び方は古いし差別的な呼称として使わないことにしているが、「お手伝いさん」は特に問題はない、ただし、ニュースの文脈(読み原稿)で「お手伝いさん」という柔かい呼称はなじまないんじゃないか?だからと言って、職業的な名称の、
「家政婦」
では固すぎる。具体的に説明すれば、
「家事を手伝っていた○○さん」
になり、それを職業名として呼ぶならば、
「家事手伝い」
になるのではないか?と答えました。他局では2局ほど、
「連帯保証人」
という別の側面に注目した呼称を使っていたそうです。
それにしても「看護婦」「保健婦」などの名称は「看護師」「保健師」などに代わって、
「○○婦」
という呼称は、もうこの10年で消えてしまったのかな?と思っていましたが、
「家政婦」
は残っていますね。残っているどころか、去年放送の日本テレビのドラマ『家政婦のミタ』の大ヒットで、職業名として、より認知が高まったように思えます。これを、
「家政師」
とは呼ばないな。国家資格ではないだろうしな。
Google検索では(10月19日)、
「家政婦」=1040万0000件
「家政師」= 3180件
でした。やっぱり「家政師」は極端に少ない。でも3000件以上ある。その中のYahoo知恵袋2011年12月に、
「家政婦の仕事を男性がする場合、なんと呼ぶのですか? 家政士?家政師?」
という質問が出されて、それに対するベストアンサーは、
「統計局 日本標準職業分類
Eサービス業 34 家庭生活支援サービスの職業 341 家政婦(夫)、家事手伝
つまり、大分類・サービス業のなかの、中分類『家庭生活支援サービス』の職業の一つってことですね」
と記されていました。あ、そうか「保母さん」に対する「保父さん」があったように、「主婦」に対して「主夫」があるように、「家政婦」に対しては、
「家政夫」
があるか!検索してみると、
「家政夫」=29万5000件
でした。「家政師」よりすっと多い。「男性の家政婦」は「家政夫」ということのようですね。