新・ことば事情
4866「4人が誤認逮捕」
爆破予告などで逮捕された人が、実はパソコンを遠隔操作されていたという事件で、警察庁長官が、
「間違って、真犯人ではない人を逮捕してしまった」
とコメントしました。国家公安委員長も、誤認逮捕を認めました。三重県警、大阪府警も誤認逮捕を認めました。それを報じたニュースを聴いていると、
「4人を誤認逮捕していたことが分かりました」
というような表現が。文字で見れば「何が問題なの?」というところですが、声に出してみると、
「ヨニンがゴニンたいほ」
となり、「4人」なのか「5人」なのか「ゴニン(誤認)」する恐れがあって、これは「ヨニン」・・・いやいや「容認(ヨーニン)」できません。
「4人を誤って逮捕した」
とすれば、そういった数字もどきの音の問題は避けられます。
似たようなものには、
「住人9人がケガ」
というようなものがあります。これも、
「ジューニン、キュ-ニンがケガ」
となって「10人」なのか「9人」なのか、はたまた「19人」なのか、耳で音だけを聴くと戸惑います。同音異義語の多い日本語だけに、
「耳で聞いてわかりやすい言葉」
を心がける必要がありますね。特に放送では。
(追記)
これに関しては、「平成ことば事情4609 誤認逮捕」でも書いていました。
そして2013年2月、遠隔操作ウイルス事件で、「片山祐輔容疑者(30)」が逮捕されましたが、片山容疑者は容疑を否認しています。弁護にあたるのは冤罪・無罪を勝ち取った足利事件を担当した佐藤博史弁護士です。はたして、真実は?勾留期限は3月3日だそうです。
このニュースを伝えた2月26日の日本テレビ「every.」では、以前の「4人の誤認逮捕」という表現を、
「4件の誤認逮捕」
という言い方に変えていました。「誤認」が「5人」に誤認されないように、「4人」の方を「4件」という助動詞に変更したのでしょう。なるほどね。
(2013、2、26)