新・読書日記 2012_178
『「新型うつ病」のデタラメ』(中嶋聡、新潮新書:2012、6、20第1刷・2012、6、30第2刷)
最近よく耳にする「新型うつ病」。「抑うつ症候群」の中の「抑うつ体験反応」のことを指すという(わかったような、わからないような)。従来の「うつ病」と違って、ハタから見ると「さぼってるだけと違うの?」に見えてしまうだけに厄介。著者(精神科医)は、「なぜ最近『新型うつ病』が増えたのか?」の原因について、まず「医者」の立場から(1)精神病理学の衰退」=診断力の低下、次に「薬」の面から(2)新薬物SSRI(抑うつ薬)の出現=病気のすそ野拡大、そして「患者」の側から(3)精神力の低下を挙げている。また、「精神科」から「心療内科」に名称が変わったことで、気軽に受診できるようになったことも、患者増大の一つの理由としている。
そして、従来の「うつ病」は、
「中高年、執着気質、規範への愛着・配慮的で几帳面・仕事熱心、焦燥と抑圧・自責的、全般に軽快しやすい」
という特徴があるのに対して、「新型うつ病」は、
「青年層、退却傾向と無気力、自己自身への愛着・漠然とした万能感、不全感と倦怠・他罰的、しばしば慢性化する」
というのが特徴だそうだ。ある意味、こちらの方が厄介な気がする・・・。でも、この症状って、
「思春期」
の状態ではないのかなあ?
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