新・ことば事情
4864「アスパラか?アスパラガスか?」
以前から気になっていることに、最近「アスパラガス」を「アスパラ」と省略することが多く、テレビのテロップもそうなっていることがあります。これはやはりきっちりと、
「アスパラガス」
と表記すべきではないかあと思うのです。
そこで2012年(今年)2月の新聞用語懇談会放送分科会で質問しました。
「『アスパラガス』は、省略せずに使いますか?それとも『アスパラ』という形を使いますか?『エビとアスパラのいため物』のようなケースはどうでしょうか?」
これに対して各社の回答は、
(毎日放送)単体では「アスパラガス」と言うが、「グリーンアスパラ」「ホワイトアスパラ」などは「アスパラ」と言っている。
(テレビ大阪)料理番組に出てくる専門家(お料理の先生)は「アスパラ」と言っているようだ。
(毎日放送)表記は「アスパラガス」としているが、コメントでは「アスパラ入れます」などと言っている。実際、お店のメニューなどでは「アスパラ」と省略されて出てくる。
(日本テレビ)正式には「アスパラガス」。たとえば、皇室に出すときは省略しないだろう。
(NHK)似たように省略される食材に「ホタテ」がある。正式には「ホタテ貝」。
(テレビ東京)サイドスーパーなどでは「アスパラ」と省略して使っているようだ。
(NHK)昔は、薬の名前(商品名)で「アスパラ○○」というのがあったので、「野菜」を「アスパラ」と省略できなかった。
とのことでした。
その後、2012年3月23日の読売新聞夕刊に、
「アスパラ収穫10年後も」
という見出しが。本文を読むと、
「ニラとミョウガとアスパラガスなどが」
「アスパラガスは古い根株には萌芽力がなくなっている」
「まずはアスパラガスから植え替えることにした」
「その場所をアスパラガスの畑にすることにした」
「アスパラガスはこうして植え替えると10年は収穫できる」
と、本文中ではすべて省略せずに「アスパラガス」でした。