新・ことば事情
4860「ロンドン五輪の『かわす』」
ロンドン五輪女子マラソンの実況アナウンサーが、
「エチオピア、スピードがあがりません。ロシアのマヨロワ選手にかわされていきます」
と「抜かれる」意味で「かわされる」を使っていました。
その前には、競泳男子200M平泳ぎ、立石諒選手へのインタビュアーが、
「ずっと背中を見てきた北島さんを最後かわして、メダル。どうですか?」
と聞いていました。「抜く」の意味での「かわす」です。
それに対して立石諒選手は、
「日本記録を出した3年前、いつか追い越せるときがきたら」
と答えていました。「かわす」を使わずに「追い越す」でした。
少し前の話ですが、去年(2011年)11月、フジテレビのF1の番組(アブダビ・グランプリ)を見ていた時にも、アナウンサーが、
「アロンソ(選手)がバトン(選手)をかわして二番手に上がりました!」
と言っていました。この「かわす」は、新しい意味の「かわす」(「抜く」の意味)です。
そして同じくフジテレビ、2012年10月7日、フランスのロンシャン競馬場で開かれた「凱旋門賞」に出走し、1番人気だった日本の「オルフェーヴル」が、ゴール直前、あと10メートルぐらいのところ、10番人気の馬に抜かれて2着になってしまいましたが、その際に、実況の関西テレビ・岡安アナウンサーが、
「ゴール前でかわされて2着」
というように、「抜かれて」の意味で「かわされて」を使っていました。
「マラソン、競泳、F1、競馬」、こういったスポーツでは「抜く」=「かわす」を使う傾向があるようですね・・・って、競走関係のスポーツは全部かな?