新・ことば事情
4858「愛玉子」
『町の忘れもの』(なぎら健壱、ちくま新書:2012、9、10)という本の238~239ページに出て来たのが、
「愛玉子」
というもの。これは「玉子」ではなく、台湾の寒天状のデザートの名前だそうで、
「オーギョーチィ」
と発音するのだそうです。本には、東京・上野の昭和9年(1934年)創業のお店の看板の写真が載っていますが、確かに「オーギョーチィ」と漢字にルビが振ってあります。どう見ても「玉子」屋さんだと思うけど、違うんですね。
これで思い出したのが、新幹線の車窓に見えるあの看板、あれは「愛玉子」ではなかったのか?と、過去の「平成ことば事情」を検索してみると、「平成ことば事情3473 たまごは『卵』か『玉子』か」の3年前の「追記4」にありました!
『久々に新幹線に乗って東京に行きました。その際、新横浜駅の少し手前(=大阪側)、東京に向かって左側に大きな看板があって、
「愛鶏卵の玉子」
と書かれていました。「愛鶏卵」はおそらく会社の名前で、「玉子」は「鶏卵」を意味するのでしょう。「卵」と「玉子」が、一つの看板の中に出てきたのが印象に残りました。』
あ、「愛玉子」ではなく「愛鶏卵」で「玉子」か。これは台湾のデザートではなく「玉子(卵)」なんでしょうね。でも、もしかしたら「愛鶏卵」を意識して「愛鶏卵の玉子」としたのかも。なんだか看板の雰囲気・字体も似てるんだもの。「玉子」は「王子」にも似ています。