新・ことば事情
4855「巻き戻しは死語?」
後輩のMアナウンサーから。
「ネットを見ていて、こんな質問を見つけました」
と教えてもらいました。
「『なんでDVDやブルーレイで「巻き戻し」って言うんですか?』という質問が掲示板に書かれていたんです。」
たしかに、「DVD」や「ブルーレイ」は、「テープではない」ので「巻き戻」さないですね。今、テレビ局の中でも記録媒体が変化してきていますし、編集室にも、
「リニア」と「ノンリニア」
があって、「リニア」というのは、なんとなく電磁石(リニアモーターカー)を思い浮かべるけど、そうではなくて「直線」(ライン)状態ということですね、つながっている。(「リニアモーターカー」の「リニアモーター」というのは、普通は「丸く」巻いてあるモーターが、「直線」に伸ばしてあるモーターだから、「リニアモーター」ですね)だからこれは、今までの「ビデオテープによる編集」で「巻き戻し」が必要です。それに対して、パソコン編集の「ノンリニア」は、「直線でつながっている」わけではない。記録媒体もテープではないので、ピンポイントで編集したい点に行ける。つまり「巻き戻しは、必要ない」というか「巻き戻してはいない」のです。
でも、編集作業においては、時間軸と同じ方向に映像を見るのではなく、時間軸を遡って見るということが、テープの場合と同じようにあります。それを何と呼ぶか?
とりあえず、今までのテープのとき同じように、
「巻き戻し」
と呼んでいるわけですね。
これは、以前「ハードディスク」に収録した番組内容を放送するときにも、
「VTRをご覧ください」
と言っていたけど、実際は「VTR」ではなかった。でも、
「ハードディスクをご覧ください」
とは言わなかったのと同じことなんじゃないかなあ。
「VTR」というのは 「映像」の代名詞としてもう定着してしまったのではないでしょうか?本当は「VTR」は、「デッキ」(録画機)のことなんだけどなあ。「巻き戻し」も、そういった動作の代名詞として使われていくんじゃないだろうか?
あと、これも「死語」なんだけど、まだ使う人がいる「テレビ関係の言葉」では、
「ブラウン管」(~でお会いしましょう、など)
「チャンネルを回す」(リモコンだから回さないなあ)
というものもありますね。