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『道浦TIME』

新・読書日記 2012_171

『神様のカルテ3』(夏川草介、小学館:2012、8、13)

著者は大阪出身で大学は信州大学。1978年生まれの若い人。

「神様のカルテ」の第1巻は、出て評判になってしばらくしてから読んだ。それより前に漫画化されたものを、すでに読んでいたからだ。医療を舞台にした小説が好きな私としてはこういった小説は好み。"青春物"でもある。読んでいて軽いタッチながら、妙に擬古調の変わった文体の小説だなあと感じていた。「2」は読んだのか読んでいないのか、よく覚えていない。たぶん読んでいない。でも「3」は、なぜか「読みたい」と思って読んだ。「2」を読んでいなくても「1」を読んでいれば大丈夫だ。

著者が、愚息の通う中・高校の先輩にあたるらしいと聞いたのも、読む動機になったかもしれない。

今回、第1章を読み終わった時点で、「あ!これは、現代を舞台にした"時代小説"だ!主人公をはじめとした登場人物の古風な言葉遣いと人情は、現代的ではない。結局、江戸時代と現代を結ぶ共通点としての"命""人と人の絆""社会の不条理"それを指摘しながらも、現状を力強く生きていく人たちの物語だ!」という風に感じた。(間違っていたらごめんなさい)

擬古調の文体の原因は、主人公(おそらく著者の分身)が、漱石や鴎外、芥川を好んでいるということによるのであろう。何より今回「あ、そうか!」と気付いたのは著者のペンネームの「夏川草介」。これって明らかに「夏目漱石」から取ったものじゃないか!「夏川りみ」から取ったのではないよね?

それにしても、北杜夫といい渡辺淳一といい海堂尊といい、そしてこの夏川草介といい、お医者さんって、あんなにハードに医療現場で働きながら、なぜこんなに小説を書けるのか?もちろん医者がすべてそうだとは言わないけれども、結構そういったお医者さん、いますよね?何か、医療現場で満たされないというか、達成不能な「理想」を「小説」という形で昇華しているのか?そんな気のする一冊ではある。


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(2012、10、4読了)

2012年10月 4日 19:38 | コメント (0)