Top

『道浦TIME』

新・読書日記 2012_190

『オタクの息子に悩んでます~朝日新聞「悩みのるつぼ」より』(岡田斗司夫、幻冬舎新書:2012、9、30第1刷・2012、10、15第2刷)

最近、こういった「悩み相談」の本が、たくさん出ている気がする。この読書日記でも取り上げた(ということは「私が読んだ」という事でもあるのだが)、西原理恵子の『生きる悪知恵~正しくないけど役に立つ60のヒント』(文春新書)しかり、『職場の理不尽~めげないヒント45』(石原壮一郎・岸良裕司、新潮新書)しかり、新書にまとめた「お悩み相談」の本だった。

本書は朝日新聞の「Be」で著者(岡田さん)が連載している「人生相談」をまとめたものだが、それだけではなく、著者がどうやってその回答にたどり着いたかという思考の過程を記したものでもあり、その意味では非常に面白い読み物。

そして「人生相談」の回答を書くという行為は、つまり「相談に乗っている」ということで、「セラピスト」のように相手とコミュニケーションを取って、相手の心理・精神状態をより良い方向に導く技術がいる。これは、日常の社会生活の中でも"使える!"技術だと思った。そしてそれは、悩んで視野が狭くなっている人に、第三者の立場から共感しつつも全く別の視点を与えるということに尽きるのだなあと感じた。

私自身は新聞の「人生相談コーナー」は、たまにしか読まないのだが、昔読んだ「人生相談」で今も印象に残っているのは、

「わたしの家は安アパートの2階です。そして、私の趣味は『指揮をすること』です。興に乗って来ると、ついつい大きな仕草で指揮をしてしまい、安アパートの1階の住民から苦情が来ます。一体どうすればいいのでしょうか?」

というものだった・・・。これはそもそも「趣味が"指揮"の棒振りの真似をすること」という極めて稀な趣味であることや、しかも場所をわきまえずというか自室で指揮をしていると「うるさい!」と文句を言われるという、「あまりにもマンガ的な状況」に、思わず声を上げて笑ってしまったものでした。

でも実は、私の大学の同期に、同じような趣味のヤツがいました。彼は「指揮をしながら大声で唸るように歌う」ので、とってもうるさく、道を歩きながら指揮をしていました。あんまり一緒には歩きたくないタイプでした・・・って、こんなのは「人生相談」には書けないわなあ。

「そういう友達がいるんですけど、どうしたらいいでしょうか?」

と投稿する立場だな、こりゃ。


star4_half

(2012、10、23読了)

2012年10月27日 10:50 | コメント (0)