新・ことば事情
4844「上手と下手」
「上手」「下手」と書いても、「かみて」と「しもて」の話ではありません。
「上手い」
と書くと、たぶん100人中90人以上が、
「うまい」
と読めるでしょう。ところがこの「上手(うま)い」と書くのは「表外訓」(熟字訓)なのです。「下手」と書いて、
「へた」
と読むのは「慣用」で許容とされているのに、その反対の「うまい」を、なぜ慣用としないのでしょうか?
考えるに、「上手」は「じょうず」と読むのが「下手(へた)」の対語で「慣用」で許容だからではないでしょうか。でもたとえば、
「下手い」
と書いて、
「まずい」
というのも、なくはないですよね。「へたい」とは読まないでしょう。そう考えると、「上手い」を「うまい」と読むのを認めてもよさそうなものを。
それとも「味覚」の「うまい」とのすみ分けが難しいので、認めないのでしょうか?
味覚の「うまい」を、
「美味い」
と書くのも表外訓(熟字訓)ですしね。これも認めてもいいような気がするなあ・・・。