新・ことば事情
4829「いつまで後輩を叱ればいいか?」
先日、後輩のアナウンサー(・・・と言っても入社23年目のベテランですが)から、ため息交じりに、
「いつまで、後輩を叱ればいいんですかねえ・・・」
と相談を受けました。それについて、こんな返事をメールでしました。
『日本を代表する宮大工の棟梁・西岡常一の最後の弟子である、小川三夫さんの語りを記した本、『棟梁~技を伝え、人を育てる』(小川三夫、聞き書き・塩野米松、文春文庫:2011、1、10第1刷・2011、5、15第2刷・単行本は2008、1)を読んでいたら、こんなことが書かれていました。
*「親方に怒られて十年。この十年で基礎を学ぶんだ。次の十年は世の中を知り、他の職人を知り、自らに気づくんだ。この間も怒られ、叱られ、文句を言われながら自分を磨くんだ。叱るのはここまでや。」
*「叱るときは、気づいたときにその場で素直に言ってやることや。小利口に後になってとかいうのではあかん。一番染みこむのは失敗したその時や。」
ということは、
「20年ぐらいは叱らないといかん」
ということかな。』
これは「宮大工」の場合ですが。
いまやアナウンサーも「宮大工」みたいなものですからねえ。「鼻濁音」なんて「伝統芸能」ですから、もはや。
叱るのにも、体力と愛情がないとできないんですよね、継続的にやるには。