新・ことば事情
4815「予洗い」
台所用洗剤のコマーシャルで、
「予洗いなしで強力洗浄」
というコメントを耳にしました。この、
「予洗い(よあらい)」
というのは一般的な言葉なのでしょうか?私は初めて知りました。手元にある、
『精選版日本国語大辞典』『デジタル大辞泉』『広辞苑』『明鏡国語辞典』『新明解国語辞典』『三省堂国語辞典』『新潮現代国語辞典』『岩波国語辞典』『新選国語辞典』には、
「よあそび(夜遊び)」「よあらし(夜嵐)」「よあるき(夜歩き)」
は載っていても、「よあらい(予洗い)」は載っていませんでした。
ネット検索(Google)では(8月20日)
「予洗い」=8万2800件
も載っていました。その中の「Yahoo知恵袋」によると、どうも、
「食洗機」
の説明などに書かれている言葉のようです。また、
「洗髪」
にも「予洗い」があるようです。
「予洗い・食洗機」 =1万3500件
「予洗い・洗髪」 =1万0900件
「予洗い・シャンプー」=4万9400件
でした。また、「シャボン玉友の会」というサイトの「石けんQ&A」には、「予洗い」の意味として、
「粉石けんを入れて洗濯する前に、水と洗濯機の機械的作用だけで洗うことを『予洗い』といいます。」
とありました。また「予洗」と書いて「よせん」と読むこともあるようです。Web辞書の三省堂「大辞林」には、
「よせん(予洗)」=「下洗(したあら)い」に同じ。
となっていました。「下洗い」を引くと、
「下洗い」=本洗いの前にざっと洗い落とすこと。予洗。
とありました。「下洗い」は、
「『予洗(ヨセン)』の意の口語的表現。(新明解国語辞典)
「汚れのひどい洗濯物などを本洗いの前にざっと洗うこと。予洗(よせん)」(精選版日本国語大辞典)
などと載っていました。
ということは、そもそもは「漢語的表現」として
「予洗(よせん)」
という言葉があり、また口語的表現では、
「下洗い」
があったところに、最近「予洗」の「洗」を訓読みして、
「よあらい」
と言う人たちが出て来たのではないか?その証拠に、「予洗(よせん)」を載せている辞書はありますが、「予洗い」を載せている辞書は今のところ見当たりません。
言葉って、こんな使われ方・変わり方をするものなんですね。ワードウォッチングの醍醐味ですねえ。