新・読書日記 2012_146
『テレビは何を伝えてきたか~草創期からデジタル時代へ』(植村鞆音・大山勝美・澤田隆治、ちくま文庫:2012、6、10)
植村鞆音氏は1938年生まれ、元テレビ東京常務で、「直木賞」の直木三十五の甥・植村清二の子。「直木三十五伝」という評伝も書いている(以前、読みました)。大山勝美氏は1932年生まれ、ドラマディレクター・プロデューサー、澤田隆治氏は1933年生まれ、「花王名人劇場」で「MANZAI」ブームを興し、「ズームイン!!朝!」を立ち上げたプロデューサー。いずれも大御所。テレビ現場の生き証人の大山・澤田両人に、植村が司会で聴くという形の「証言集」とでも言うべき一冊。表紙のイラスト(写真?)は、「東京スカイツリー」の展望台付近のアップ。サブタイトルの「草創期からデジタル時代へ」も「デジタル時代」を象徴している。大山・澤田の両人は、主に草創期からアナログ期に活躍されたが、それはテレビの興隆と軌を一にしている。
3者の対談は「月刊民放」誌上で2年に亘り連載されたそうだが、それは読んでいなかった。まとめて読むと勉強になる。すべてのテレビマンに読んでもらいたい一冊だ。
中にはなんと「情報ライブ ミヤネ屋」に触れた部分もある。「ゴールデンタイムで司会を張れる大物タレントが20年前と変わらない。相変わらず、さんま、たけし、タモリ、紳助、ダウンタウン」と。(その後「紳助」に関しては状況が変わったが。)それに関連して大山さんが、「『情報ライブ ミヤネ屋』(読売テレビ)の宮根誠司みたいに、地方には結構司会者はいるんですよ」と言うと、澤田さんが「普通アナウンサーが言わないようなことを彼は平気で言っちゃうというんで、人気があった。一種のモラルハザードみたいなのを越えられるキャラなんです。やしきたかじんの手法です。たかじんの場合は東京のスタッフともめて東京進出に失敗したんですけど。鶴瓶だって2回失敗していますから。3回目は行儀よくしてうまくいってる。みんな努力しているんです」という部分です。