7月10日の「ミヤネ屋」の中に出て来た表現について、スーパーなどのチェックを担当してもらっている読売新聞OBのOさんから、
「『大学初任給50円』という表現は、『大卒初任給50円』ではないか?」
とご指摘を受けました。あ、危ない。確かに、大学に入って給料もらうんじゃなくて、大学を卒業して就職しての給料だから、そりゃあ、
「大卒初任給」
でないといけませんね。それで、ふと思いついたのは、
「1930年(昭和5年)当時、『大卒初任給50円』というのは高すぎるのではないか?」
ということ。調べたら、これは正しかったのです。
1927年(昭和2年)で、女子賃金は男子の39%で「日給50~70銭」(1円=100銭)。月給換算(30倍)では、15円から21円ですね。
当時の物価は、
「カレーライス」7~10銭
「銭湯」6銭
「市電」7銭
給料は、
「熟練工、大工が月給換算」50円
「少年工」10円、
「大卒初任給」50円
だそうです。
おそらく今の貨幣価値から言うと、「1円=1万円」ぐらいではないかと。そうすると1銭が100円か。そう考えると、大卒は初任給50万円は高い!
でも当時の「大卒」というのは、今の「大学」ではなく、全国に8つしかない「帝国大学」、つまり「超エリート」だったのですから、そのぐらいでも妥当なのでしょうね。
また、その近辺の時代の物価では、1910年(明治から大正)頃に輸入された「英国製のガス・コンロ」は「16円」で、
「大卒初任給の4分の1」
にあたるほど高価なものだったそうです。
そして、1931年(昭和6年)、東芝の前身である芝浦製作所がGE社製をモデルに開発した「アップライト型・国産第1号の電気掃除機」の価格は「110円」で、
「当時の大卒初任給の約2か月分」
にあたったということです。その時代に山田五十鈴さんは、契約金500円、月給100円です。スゴイなあ!それでやっぱり、大卒初任給50円ぐらいだったのですね、当時は。
その後調べたところによると、
1945年(昭和20年) 銀行員大卒初任給 80円
46年(昭和21年) 国家公務員大卒初任給 540円
47年(昭和22年) 銀行員大卒初任給 220円
48年(昭和23年) 国家公務員大卒初任給 2990円
49年(昭和24年) 銀行員大卒初任給 3000円
50年(昭和25年) 銀行員大卒初任給 3000円
51年(昭和26年) 銀行員大卒初任給 3000円
52年(昭和27年) 銀行員大卒初任給 5600円
53年(昭和28年) 銀行員大卒初任給 5600円
54年(昭和29年) 銀行員大卒初任給 5600円
55年(昭和30年) 銀行員大卒初任給 5600円
56年(昭和31年) 銀行員大卒初任給 5600円
57年(昭和32年) 銀行員大卒初任給 12700円
58年(昭和33年) 銀行員大卒初任給 12700円
59年(昭和34年) 公務員大卒初任給 10200円
60年(昭和35年) 大卒初任給 12190円
61年(昭和36年) 大卒初任給 15690円
値段の歴史って面白いですねえ。
私の父が、1958年(昭和33年)大卒初任給が1万3000円ぐらいだったと聞いたことがあります。私は1984年(昭和59年)に大卒で、初任給が14万3500円でした。親父と26年で10倍になってるんだと感じたことがあるのを思い出しました。
(2012、7、31)