新・ことば事情
4779「このあと」
もう2年前の話です。
2010年2月22日にバラエティー番組を見ていたら、
「このあと、ついに明石家さんまが」
という告知があってCMに。当然CMのあとに出てくると思ったら、明石家さんまさんの出演は、
「来週」
でした。来週の予告がちょっとだけ流れておしまい。そのときに書き残したのが、
「あれはあかんやろ!」
「『このあと』と言ってCMになったら、当然、『CMのあと』に登場してくれなければなりません」
そこで、ほんのちょっと出てきて、
「本編は来週」
というのは、視聴者を欺く行為です。
これはアカン!と憤る私を前にして、当時、小学6年生の息子が、
「時間を見てみいや、(午後)10時まであと10分もないもん。この番組は、10時までやろ、こんな時間から、さんまが出てくるはずがないやん」
子どもにはすっかり見透かされています。だまされるのは大人ばかり・・・。
こんなことをしていてはいかんと思っているうちに、この手法はあちこちに広まり、2年も経たないうちに、もう最初から誰も「このあと」に期待しなくなりました。本末転倒です。
小手先のテクニックではなく、本編の魅力で見せる姿に返るべきときです。