新・ことば事情
4777「『起これ』と『起きろ』」
ロックミュージシャンの桑名正博さん(58)が脳幹出血で意識不明だというニュースを、7月16日の「ミヤネ屋」でお伝えしました。翌日の放送でもこのニュースを伝えるため、翌日分の「ラテ欄の文言」に関して、スタッフから質問が。それは、
「奇跡起これ」か?「奇跡起きろ」か?
という質問でした。つまり「起こる」と「起きる」の違いですね。同じと言えば、同じなんですが・・・
私の語感としては、「起これ」という命令形は「願い」であり、しかも自分の力ではどうしようもないことを神に祈るような感じ。
一方の「起きろ」は、自分の命令によってたちどころに「はい!」と起き上がってくるような、自力で何とかできそうな感じがします。
『NHKことばのハンドブック第2版』を引いてみると、
「起きる」・「起こる」、「起きない」・「起こらない」
について書かれていて、
『伝統的な語法としては「起こる」、現代口語では「(津波が)発生する」という意味では「起きる」と表現する慣用が強い。「起こらない」も認める。』
と記されていました。
奇跡が「起こって」ほしいし、「起きて」ほしいです。