新・ことば事情
4771「マスターとマイスター」
近くのラーメン屋のおやじさん、たまたま店に寄った日が「誕生日」だったようで、常連さんからお祝いされていました。そのときに常連さんが、
「マスター・・・あ、今『マスター』って言ってしもた。ふだんは『大将』って言うてるのに。『マスター』ってガラじゃないよな」
と言ったのを聞いて、
「たしかに、バーか何かは『マスター』やけど、ラーメン屋さんは『マスター』って感じじゃないな」
と思いました。それと同時に、ワーグナーの、
「ニュンルンベルグのマイスタージンガー」
を思い出しました。この「マイスタージンガー」を日本語で、
「親方歌手」
と訳したものを目にしたことがありますが、なんか「歌手」に「親方」は合わないなと感じたのを思い出し、「親方」と「大将」に共通点を見つけた気がしたのです。そして、
「『マイスター』が『親方』で、『大将』が『マスター』なら、もしかして『マイスター』と『マスター』は同じではないか?」
とひらめきました。今まで全く考えたことなかったけど、多分そうだよな。「マイスター」はドイツ語、「マスター」は英語だけど、同じ言葉か。イタリア語はもちろん「マエストロ」だな!
「マイスター」という言葉を知ったのは1974年、サッカーワールドカップ西ドイツ大会のとき(当時中学1年生)に、「WM」と書いて
「ヴェルト・マイスター」=「ワールドカップ(所持者=優勝者=世界一)」
の意味だと知ったときですが、この「マイスター」が「マスター」に繋がるとは・・・40年近くたって初めて気付いたラーメン屋さんのカウンターだったのでした。
(