新・ことば事情
4770「上京」
先日、神戸の女子短大で連続2コマの授業をしました。(3時間!)ここ10年ほど、年に1回か2回、「日本語入門」」という講座の中で「日本語」に関する話をしているのです。170人ほどの学生さんが熱心に聴いてくれました。(途中ちょっと、おしゃべりがうるさかった時間帯もあったけど)その授業の感想文がどさっと送られてきました。おおむね好評だったようなのですが、その中で気になった文章が。
「私は、今年の春、鳥取から神戸に上京してきたのですが」
「岡山から上京してきて初めに気付いたのは」
というように、
「上京」
という言葉を使っている学生が、かなりいたのです。もちろん「上京」とは、
「首都・東京に行くこと」
なのですが、「地方」から「神戸」に行くことを「上京」とした学生さんは、いわゆる「都会」に生活のために出て行くことは全部「上京」だと思っているのかもしれませんね。
それと、読んで思わず笑った感想は、
「授業中は、絶対に寝ると思ってたけど、話に引き込まれて一睡もしませんでした」
というもの。何人か「寝ると思ったのに寝なかった」ことを「サプライズ」として書いています。「一睡もしませんでした」って、
「徹夜の授業か!」
と、感想文のレポート用紙に向かって突っ込んでしまいました。みんな「授業中は寝るものだ」と思っているのでしょうか。ま、自らの学生時代を思い返してみると、確かにそういう側面も・・・。でも、短大はスケジュールが密だから、そんな余裕はないのでは?とも思いましたが。
たまにこういう反応を聞く(読む)とうれしいものですね。少なくとも、
「授業は退屈で退屈で、ぐっすり眠ってしまいました」
「あまりにもぐっすり眠ってしまって、授業ガ終わったことにも気付きませんでした」
などという感想よりは、100倍、いいです。