新・ことば事情
4765「肩引き、傘かしげ」
「道浦さん、狭い道を歩いていてすれ違うときに、ちょっと半身になって道を譲るようなしぐさを、なんと言うんでしたっけ?」
と質問を受けました。
傘をさして歩いていて前から来る人とすれ違うときに、傘をちょっと斜めにしてすれ違いやすくする動作は、「江戸しぐさ」では、
「傘かしげ」
と言うことは、たしか林えり子さんのエッセイで読んだ覚えがありますが、(「傘から落ちるしずくで、すれ違う相手を濡らさないように、 傘をお互いに外側にかたむけるしぐさ」だそうです)、傘を差さずに普通に歩いていてすれ違うときは、なんと言うのでしょうか?
まず「傘かしげ」を辞書で引きましたが、載っていないようです。
ネット検索すると、「傘かしげ」は載っていました。(Google・6月22日)
「傘かしげ」 =3万4500件
「傘かしげ、江戸しぐさ」= 9500件
その中に、解答がありました。どうやら、
「肩引き」
と言うそうです。これも「江戸しぐさ」なのだそうです。(Google検索・6月22日「肩引き、江戸しぐさ」=4070件)
最近、こういったエチケットと言うかマナーを知らない人が増えている気がします。こう言った「エチケット」の名前は知らなくても良いけれど、「気遣い」として必要ではないのかなあ?道を譲らない人に会うと腹が立ちますが、相手もきっと同じことを考えているのでしょう。(もしかしたら「譲ったら負けだ」と考えているのかもしれない。)そこで、
「これはサッカーの試合中で、相手のディフェンスをかわしてゴールを目指しているのだ」
と思えば、気持ちよくすり抜けていきます。「相手のディフェンス(前から来る人)がよけないから腹が立つ・・・」とは、サッカーの試合中は考えないですね。フェイントで、あるいはスピードで抜いていくのが当然ですから。これは練習、練習!と、気の持ちようで、全然見え方は変わってきます。
でも、イヤホンで音楽を聴きながら道の真ん中を歩いて譲らない若者を見ると、腹が立つのは腹が立つ。自分も若いときはそうだったのだろうか?とちょっと振り返ってみますが、どうだったのだろうか?