新・ことば事情
4761「生きとし生けるもの」
地下鉄を待っていたら、急に疑問が浮かんできました。
「生きとし生けるもの」の「とし」って何?
おそらく「し」は強めの助詞でしょう。(平成ことば事情4682「『いつしか』の『し』」では、「『いつしか』の『し』は『過去』を表す助動詞なのではないか?」と思って辞書で「し」を引いたら、「強めの助詞」だったと。「えにし(えん+し)」「定めし」「果てし(ない)」などの「し」と同じという話でした。)
『精選版日本国語大辞典』を引くと、
「『し』は強めの助詞。『いき』は四段動詞『いく(生)』の連用形、『いけ』は命令形」
とありました。
そうすると「と」は何なのか?
うーん、「と」は分からないなあと思っていたら、読売新聞水曜日の連載、
「なぜなに日本語103」(5月23日)で「意味を強める『し』」が載っていました。グッド・タイミング!それによると、
「『生きとし生けるもの』は、『この世に生きているすべての生き物』を指します。『と』にも強める意味があり、『し』にも強まる意味があり、『し』とともに『生き』を強調した表現です。」
とありました。
「と」も強めかあ。