新・ことば事情
4755「カンファレンスか?コンファレンスか?」
先日、早稲田大学非常勤講師の飯間浩明さんと話をしたときに、飯間さんから、
「これまで医者などが『カンファレンス』と言っていた言葉ですが、『コンファレンス』と書くようになってきているのかもしれません」
という話とともに、ご自分のiPadで撮影した、
「コンファレンス」
というも字がある看板の写真を見せてくれました。
そこで、家に帰ってから辞書を引くと、
「コンファレンス」=『精選版日本国語大辞典』『デジタル大字泉』
「カンファレンス」=『広辞苑・第6版』『三省堂国語辞典・第6版』
「両方見出しなし」=『明鏡国語辞典』『NHK日本語発音アクセント辞典』『岩波国語辞典・第9版』
このほか、『新選国語辞典・第9版』は、「カンファレンス」が空見出しで、「コンファレンス」が本見出し。その中の「参考」に、
「学術や医師らが行う治療方針などの事前打ち合わせでは、『カンファレンス』の形で使われることが多い」
とあり、『新明解国語辞典・第7版』も、「カンファレンス」は空見出し。「コンファレンス」を見ると、
「(学術的な)会議。『カンファレンス』とも」
となっていました。これまでは「学術・医術」といった専門分野でしか使われなかった「カンファレンス」が、一般的にも使われるようになってきたので、そこでは新しい「コンファレンス」を使っているのではないでしょうか?意味の分化が進んでいるのではないでしょうか?
でも、そもそも「コンファレンスルーム」なんてカタカナを使わなくても、
「会議室」
でいいではないですか。ええカッコ、してるんですよ。レンタルの「コンファレンスルーム」と「貸し会議室」の料金を比べて「コンファレンスルーム」の料金の方が高かったら、
「名称のカタカナ使用は、商業的動機・意図がある」
とみていいのではないでしょうか?
Google検索では(6月17日)
「カンファレンス」 =171万0000件
「コンファレンス」 =104万0000件
「カンファレンス・医学」= 61万6000件
「コンファレンス・医学」= 4万3600件
「カンファレンスルーム」= 10万6000件
「コンファレンスルーム」= 4万6600件
でした。医学界でも、
「スライドコンファレンス」(日本病理学会九州沖縄支部)、「東京ステーションコンファレンス」(会場名)、「国際ホメオパシーコンファレンス」(日本ホメオパシ医学協会)
などと出てきました。