新・ことば事情
4753「お父さんいつもありがとう」
先日、東京で早稲田大学非常勤講師の飯間浩明さんと会いました。その際に出た話。
「もうすぐ父の日ですが、道浦さんは『お父さん、いつもありがとう』というのは気になりませんか?」
「いえ、特に気になりませんが、何か?」
「この中の『いつも』が気になるんです。『お父さんありがとう』なら分かりますが、『いつも』というのは『会うたびにいつも』ということで、毎日一緒に住んでいるのなら、わざわざ『いつも』なって言う必要はない。たまにしか来なくて、その際に『いつも』と言うのなら分かりますが、それでは例の二股疑惑ではありませんが、お父さんがいつもは家にいないこのような感じではありませんか?」
「そ、そこまで考えたことはなかったなあ・・・。」
「最近のコマーシャルなんかでも『いつもありがとう』になっていて、気になります。以前はそんなことはなかったと思うのですが・・・」
さすが三省堂国語辞典の編者、観察が鋭いです。
Google検索をしてみたら(6月17日)
「お父さんいつもありがとう」 = 6万8200件
「お父さんありがとう」 =31万6000件
「おとうさんいつもありがとう」= 2万7200件
「おとうさんありがとう」 = 3万8200件
「お母さんいつもありがとう」 =14万6000件
「お母さんありがとう」 =12万4000件
「おかあさんいつもありがとう」= 7万8500件
「おかあさんありがとう」 =14万0000件
ということで、「お父さん」に関しては「いつも」が付かないほうが多かったので、飯間さんもホッとされたのではないでしょうか。でも「お母さん」は「いつも」の方が2万2000件多い。ということは、もしかしたら、
「感謝の度合いが高いと『いつも』が付く」
のではないでしょうか?そんなことはないのかな?
「育児をするおとうさん=イクメン」が増えた昨今とはいえ、やはり、そこ(育児)はお母さんの牙城、そのへんは子どもたちはわかっているのではないでしょうか?
え?うちですか?「父の日」のきょうは、何か子どもたちから、あったかって?
一応、小2の娘からは「お手紙」をもらいました。中3の息子からは、
「あー、冷蔵庫にあったチョコボール、全部一人で食べたん?信じられへん!」
とお叱りを受けました。いいやん、父の日ぐらい、全部一人で食べても。おいしかってんもん。