新・ことば事情
4742「宗女」
拙著「最新!平成ことば事情」(ぎょうせい)の読者から編集部に質問が届いたそうです。
それによると、
「もし『最新!平成ことば事情』の続刊があるようでしたら、是非取り上げていただきたいのは『宗女』」という語です。日本史の教科書には、必ず『邪馬台国の卑弥呼の死後、宗女の壹与を王とした』と書いてありますが、この言葉、どんな国語辞典にも見つかりません!」
とのこと。
たしかに「魏志倭人伝」に出てきますね。特に気にしていなかったのですが。
ネット検索すると「教えて!Goo」でも同じ質問がされています。思うにこれは、
「宗子」
のことではないでしょうか?「宗子」は、『広辞苑』でも、
「一族の長たるべき子。家をつぐべき子。宗家の嫡男」
と載っています。それが「女」である場合には「宗女」なのではないでしょうか?
卑弥呼の時代には(その後の天皇家でも女帝がいるように)女性でも家を継いでいた、男女の差は、そこには無かったのでしょう。
その後「男系」の歴史が作られた(おそらく明治時代以降)ことにより
「嫡子=嫡男」
となって、「宗子=宗男」(「むねお」ではありません)というのが現在では常識になったのではないでしょうか?現在の常識で「魏志倭人伝」の時代をはかると、分からなくなってしまうことがあるのではないでしょうかね。
「嫡女」=正妻が産んだ長女
という言葉もあるようです、とお答えしました。