新・読書日記
『なみだふるはな』(石牟礼道子・藤原新也、河出書房新社:2012、3、30)
大変美しい、淡い水色の空にかすむ桜の花の表紙の真ん中に、平仮名で黒々と「なみだふるはな」と書名がある。インパクトが強い。
『苦界浄土』の石牟礼道子さんと、『東京漂流』の藤原新也さんの対談集。
今回の東日本大震災の被災地を始め、世界のあらゆる紛争や被災地を、レンズを通して見てきた藤原さんと、熊本の水俣で、あの水俣病という「公害病」とふるさとを見てきた石牟礼さん。この二人の組み合わせの対談ということを知って「あっ!」と思った。まず失礼ながら「石牟礼さんって、まだご存命だったのだ!」と。そして、「水俣病は終わっていない」ということを改めて知った。さらに、水俣病の構図と東電・福島原発の事故の構図が実は「同じもの」であるということも。これは別の本を見て思ったのだが「ゴミ問題」と「原発問題」もまた、同じ構図だ。生活に必要だけど、自分の住んでいるところの近く造るのはイヤ、と。そういうことをずっと言ってきた私たち・・・。なんだ、何にも変わっちゃいないじゃないか。ということは、70年代からゴミ問題に取り組んできた人たちの取り組みの歴史は、今後の原発問題への対応にも応用できるのではないか?成功も失敗も含めて。また水俣病の公害の歴史も、福島原発の事故後の対策に生かすべきであると、強く思った次第。
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