新・ことば事情
4728「作りますでしょう」
『なみだふるはな』(河出書房新社:2012、3、30)という石牟礼道子さんと藤原新也さんの対談集を読んでいたら、石牟礼道子さんが
「粉を作りますでしょう」
と言っていました。それを見て「ハッ!」と思いました。女性が使うこの、
「~(します)でしょう」
は、
「作るじゃないですか」
の「じゃないですか」と同じだ!と。
昔からあったんだなあ、こういった、
「同意を求める(相手も知っているという推測のもとでの)事実の提示」
は。でも、
「相手も知っているという推測」
が、これまではたいていの場合、実際に
「相手も知っている確率が高かった」
のに対して、ここ10年ほど使われた「じゃないですか」は、
「相手が知っている確率が著しく低かった」
ことが違和感を生んでいたのではないでしょうか。つまり、
「相手がどれだけ自分のことを知っているか=相手と自分の距離感の認識力が下がった」
ことによって生まれた言い回しではないか。
また、一方的な距離感の認識を相手に押し付けることで、相手に不快感が生じたのではないかなと感じましたが、いかがでしょうか?これって、押し付けていますかね?