新・ことば事情
4727「定番のビールやそうめん」
5月16日、関西の百貨店では早くも「お中元商戦」が始まったというニュースを、お昼のニュース番組で伝えていました。その原稿を読んでいた若手のYアナウンサーが、
「定番のビールやそうめん」
と原稿を読んだのですが、これに対してちょっと待った!
これは、そのまま読んでしまうと「や」で結ばれている2つのものが、
「定番のビール」や「そうめん」
になってしまうのですが、ここで言いたいのは、
「お中元商品の定番であるところの、ビールやそうめん」
なのです。つまり「定番の」は「ビール」だけではなく「そうめん」にも掛かるわけです。そういう意味を伝えるには、「定番の」のあとで短く切って、
「定番の、『ビールやそうめん』」
と読まなくてはいけません。どの言葉がどこに掛かっているのか、そういうことを意図して記者はその原稿を書いたのか、そこまで読み取って表さなければ、視聴者に意味は伝わらないでしょう。音が耳を右から左に通って行くだけです。
そのレベルで終わらないように、意味を考えながら読むことが必要ですね。