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『道浦TIME』

新・ことば事情

4724「およよ」

 

毎年5月15日に京都で行われる「葵祭」。

今年は一日雨天順延で、きょう16日に行われました。都大路を時代装束の人たちが練り歩くパレードです。そのヒロイン斎王代が乗った乗り物を、

「およよ」

と言います。私は、「頭高アクセント」で、

「オ\ヨヨ」

毎年この時期のニュースで読んできましたが、辞書を引いても「およよ」は載っていません。まあ、京都だけの伝統的なお祭りの言葉だから辞書に載っていないのだろう、と思っていたら、きょう、そのニュース

「オ/ヨヨ」

「平板アクセント」で読んでいた山本隆弥アナウンサーがやってきて、こう言いました。

 

「道浦さん、葵祭りの『およよ』なんですけど、辞書に載ってないんですよ。でも『ようよ(腰輿)』というのは載っていて、それと関係があるんじゃないかと思うんですけど」

 

辞書(『精選版日本国語大辞典』)を引くと、確かに「腰輿(ようよ)」載っていました。

「ようよ(腰輿)」=人力による乗り物の一種。屋形を据えた轅(ながえ)を前後にそえて持ち上げるところからいう。四方輿(しほうごし)・網代輿(あじろごし)・板輿(いたごし)の類がある。手輿(たごし)。」

 

そうか!つまり「ようよ(腰輿)」に丁寧語の「お」が付いて

「おようよ」

それが、早く言ううちに「ようよ」の「う」が脱落して(というか、「ようよ」を早く発音して長音でなくなれば「う」の脱落と同じ)、

「およよ」

となったのではないか?そうに違いない!と固く信じました。なぜ30年近く気付かなかったのだろう。山ちゃん、教えてくれてありがとう!

そうするとアクセントはきっと、

「ヨ\ウヨ」→「オ/ヨ\ウヨ」→「オ\ヨヨ」

ですね。

ところで、桂三枝さんの昔のギャグで、

「オヨヨ」

というのがあったけどこれは関係ないのかな?とずっと思っていたのですが、これも解決しました。「ミヤネ屋」のN部長が、

「あれは昔、大河内伝次郎の物マネで皆な"オヨヨ、オヨヨヨヨ・・・"とやっていたのを、三枝が一発ギャグにしたんや」

あ、そうだったのか。大河内伝次郎かあ。

「じゃあ、小林信彦の『オヨヨ島の冒険』『オヨヨ大統領の陰謀』とかの一連の『オヨヨ』 シリーズも関係ないんですか?」

「それは時期が違うんじゃない?当時は三枝さんも全国区じゃなかったから、別やろ。」

ということでした。オヨヨ。

 

(2012、5、16)

2012年5月20日 10:52 | コメント (0)