新・読書日記 2012_078
『ぜんぶの後に残るもの』(川上未映子、新潮社:2011、8、30)
川上未映子さんの文体は話し言葉がそのまま文字になったというか、頭の中で考えていることがそのまま文字になったようなだらだら文体が一つの特徴かなと思うのだけれども、割とそれが私には心地よい感じがするのですね。(このぐらい長い文章です。)同じように長くても、町田康さんの文章は読みにくいというか私の頭には流れ込んで来ない感じがする。ま、相性ですね、こればっかしは。
これは『週刊新潮』での連載と「日経新聞」の夕刊「プロムナード」での連載をまとめたエッセイ集。『週刊新潮』は普段読んでないので、初めて読むエッセイばかりでした。「はじめに」で書いてあるように、「東日本大震災」をはさんでのエッセイ。川上さんは、南三陸町には映画の仕事で滞在したことがあったそうだ。タイトルの「ぜんぶの後に残るもの」とは・・・「地震のあとで」と題された章の8つのコラム、そして「あとがき」を読むだけでも価値があると思う。
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