新・ことば事情
4708「希代はキダイか?キタイか?」
「希代」の読みは「キダイ」でしょうか?それとも「キタイ」でしょうか?
そういう質問を「ミヤネ屋」のスタッフから受けました。私は、
「どちらも可」
と答えました。
「代」の読み方で「ダイ」と濁るのは、仏教用語などに多い古い読み方で「呉音」と言います。「タイ」と濁らないほうが、あとから(中国から)日本に入ってきた読み方の「漢音」です。「代」は「呉音」の「ダイ」の方がよく使われている印象がありますね。
『広辞苑』では「キタイ」と濁らないほうが見出しになっていて、
「(キダイとも)」
と書かれています。
一方、「希代」の「希」は「キ」と読むのが「漢音」で、「希有(けう)」のように「ケ」と読むのが古い「呉音」です。
また、もともとの漢字は「稀代」と「稀」を使うのですが、常用漢字ではないので、新聞や放送では同じ読み方で形が似ている「希」を使うことになっています。
『新聞用語集2007年版』の「放送で標準とする読み方例」では、「希代」の読みは、
○「キタイ」
○「キダイ」
の順で両方載っています。2つの読み方がある場合でも、「より望ましい読み方」がある場合には「①」「②」と順番を付けて載せているのですが、この場合は「どちらが優先」という順位付けできなかったようです。