新・ことば事情
4705「でっちあげ」
強制起訴に伴う小沢裁判での「無罪判決」に絡んで、ふと思い浮かんだ言葉は、
「でっちあげ」
です。この「でっち」って、いったい何だろうか?と。
「丁稚」
が関係しているのか?丁稚がやるような、幼稚な証拠でつくりあげること?そんなバカななどと思いながら『広辞苑』を引くと、なんと漢字表記は、
「捏ち上げ」
と書かれていました。なんと「でっち」は漢字で書くと
「『捏造』の『捏』」
だったのか!漢和辞典を引くと、この「捏」という漢字の「漢音」は「ネツ・ネチ」ですが、
「『呉音』が『デツ』」
だったのです。「でっち」も「音読み」なんだ、訓読みではなくて!つまり、
「でつあげ」
が強調されて、
「でっちあげ」
となったのですね!丁稚は関係なかった!でも、
「でっちあげ、一丁!」
とか言うと、なんとなく「丁稚さん」のイメージが浮かんでくる気が・・・・。
もう少し漢和辞典をよく読んでみると、
「『でっちあげる』は『捏(デツ)』を活用させた言葉」
と、ちゃんと書いてありました。辞書は引いてみるもんだなあ。
(追記)
興膳宏『仏教漢語50話』(岩波新書:2011、8、19)という本を読んでいたら、
「涅槃」
について書かれた項目で、「涅(でつ)」の意味は、
「黒い土、または黒く染めること」
と書かれていました。
「涅」は、「捏造」の「捏」と字がよく似てますよね(旁=つくりは、同じ)。ということは、意味も似たところがあるのかな?と感じました。
(2013、1、15)