新・ことば事情
4703「肉まんと豚まん」
「豚肉」を使った「まんじゅう」を、関東などでは、
「肉まん」
と呼ぶのに対して、関西では、
「豚まん」
と呼びます。これは結構、皆さんご存じだと思います。理由は、関東では、「肉」と言えば「豚肉」が主流であるのに対して、関西では「肉」と言えば「牛肉」が主流だから、「豚肉」を使った「まんじゅう」は関西では「豚まん」と呼ぶのですね。関西で「肉まん」と言えば「牛肉」を使わなくてはなりませんが、これは見た事がありません。
「丼物」でも関西では「牛肉」を使ったものは「肉丼」と言います。おうどん屋さんの丼物にあります。逆に「吉野家」など関東系で広まったものは「牛肉」を使っていたら「牛丼」です。「牛丼店」はあっても「肉丼店」は聞いた事がありません。
ただし、豚肉を使った丼を関東で「肉丼」と言うのか?というと、それは確認できていません。しかし、なぜか「北海道・帯広」が発祥の豚肉を使った丼を「豚丼」と呼んで、それをいわゆる「牛丼店」で売っています。北海道の場合は「肉」というと「羊(ラムやマトン)」なので、やはり肉の種類を「豚」という必要があるのでしょう。このあたりについては、NHK放送文化研究所の塩田雄大・専任研究員が詳しく調べて書かれているはずです。
さて。
そんな関西、大阪は堺筋本町のコンビニで、先日、私は見つけてしまったのです!
「セ○ン-イレ○ン」に入ったところ、カウンターの横においてある「蒸し器兼保温器」の中に入っている商品の、
「肉まん」(110円・228カロリー)
の上に、
「関西風!豚まん!」(150円・360カロリー)
という商品があることを!(なぜか「!」が2つも付いていた!!)
全国的には、関東風に豚肉が入ったまんじゅうは「肉まん」と呼ぶのでしょうが、「関西風」ではやはり「豚まん」と呼ぶことが、これで明らかになりました。
しかし!!これでは、
「関東の肉まんと、関西の豚まんは、違うものである」
ということになりませんか?なんだか「関西風・豚まん」のほうが値段もカロリーも高い!と。同じものの呼び名ではなかったのか?
急いでいたので食べ比べはしませんでしたが、今度時間のあるときに買って「食べ比べ」をしたいと思っています、味がどう違うのかを。