新・読書日記 2012_085
『詩ノ黙礼』(和合亮一、新潮社:2011、6、15)
昨年7月3日の時点で3分の1ほど読んで以下のように書いている。(当時のナンバーリングは2011読書日記132)
「心の叫び。宗左近の『炎える母』を思い出した。
『黙礼』イコール『鎮魂』。『黙祷』は『祈り』。何に対して?亡くなった人?自然?神?長い叙事詩だ、ある意味「ギルガメシュ叙事詩」。ベートーベンではなくマーラーを聞き給え、和合くん、もしくはチャイコフスキーを。」
その後、本が行方不明に。最近、見つかって読み終えての感想は以下のとおり。
「震災から3か月で出た詩集。言葉が爆発している。辛うじて気持ちを押さえている、強い訴えは、『原爆小景』にも通じる。魂の叫びを辛うじて言葉にしたという感じがする。この悲しみ、怒り、むなしさ、理不尽さ、空虚感、やるせなさ...そして不安。書き綴るしかないのだ、詩人。書き続けるしかないのだ、詩人。どこかで見たことがあると思ったら、中学・高校時代の私の日記の書き方にそっくりだ!不安をぶつけた日記にそっくりだ。」
以下、胸をえぐられるような、言葉を信じられなくなったがその言葉で綴るしかない詩人の言葉を、一部抜粋した。
「本当は ・・・・・・溶けていた だって? 隠れている 隠れているものは 何だ 隠すな何も 隠すな 青空
きちんとした 確認がなされるまで 事実を伝えなかった だって? 隠れている
隠れているものは何だ 隠すな 何も隠すな 青空
何の 影響もない だって? 隠れている 隠れているものは 何だ 隠すな
何も隠すな 青空
このままじゃ 裏側が恐ろしい 雲の裏側が 説明の裏側が 汚染地図の裏側が
手の裏側が 決議文の裏側が 指定区域の裏側が 言葉の裏側が
幽霊よ 放射能の真顔よ 教えてくれ
幽霊よ 放射能の真顔よ 教えてくれ どうしてこんなにも 俺たちを 隠れたまま 追い詰めるのだ
何が望みだ 幽霊よ