新・ことば事情
4696「謄写版」
甲南大学での2012年度の講義が始まりました。
「マスコミ言語研究Ⅰ」
土曜日の2限という出にくい時間帯なので、去年は30人ぐらい、今年はどうやら15人ぐらいに落ち着きそうです。そのぶん「ゼミ」のような感じでできるのと、レポートなどの採点がラクということはあります。以前のように100人ぐらいだと、それだけで大変な負担がありますが。
この授業のためのレジュメは毎回、甲南大学の講師控え室で「印刷」します。「コピー」ではなく「印刷」なのです。見た目はコピー機と同じですが、最初に「製版」のボタンを押して2回目からはそれを「印刷」するというスタイルの機械なのです。
ところがこの機械が、すぐに止まってしまうのです。最初は、なぜ機械の具合が悪いのかが分からず、係の職員に聞くと、
「黒っぽい写真の部分が多いと、そこにインクがたくさん付いて引っかかってしまうんです」
と言われました。そこで私は、このコピー機のようなものが「印刷機」であることを改めて思い出して、係の人に、
「謄写版みたいなのものですかね」
と言ったら、
「????」
と何のことを言われているのか分からない、といった感じ。
「ガリ版みたいに、一枚一枚インクつけて刷るやつ」
と言ったら、わかったような顔をしていましたが、わかってないな。
そうか、「謄写版」はもう「死語」なのですね。
それを実感したのが、今週の甲南大学での収穫でした。